
2026年8月24日、Club IFAでは、会員同士の交流と知見の深化を目的としたIFA向け特別セミナーを開催しました。
今回は、株式会社ステラディベロップメント 代表の文山 貴寛氏を講師にお迎えしました。「不動産市場の実態」をテーマに、不動産価格の捉え方、金利上昇の影響、提示価格の根拠の見極め方を、実務の立場から解説いただきました。
お客様の資産全体を把握するうえで、不動産は欠かせない資産の一つです。不動産の相談を受けたとき、IFAとしてどのような視点を持つべきかを学ぶ機会となりました。
開催概要
| 開催日 | 2026年8月24日(月) |
|---|---|
| テーマ | 不動産市場の実態 |
| 登壇者 | 株式会社ステラディベロップメント 代表 文山 貴寛 氏 |
| 開催形式 | 会場・オンライン |
| 参加者 | Club IFA会員23名(会場17名、オンライン6名) |
金利が上がれば、不動産価格は必ず下がるのか
現在の不動産市場について、多くの方が関心を持っているテーマの一つが金利です。
一般的には、金利が上昇すると借入コストが増加するため、不動産価格にはマイナスの影響があると考えられます。
一方で、講演では「金利が上がったから、すぐに不動産価格が下がる」と単純に考えることはできないと説明されました。
不動産価格には、金利だけでなく、建築費、賃料、物件の供給量、投資家からの需要、エリアの希少性、将来の収益性など、さまざまな要素が影響します。
金利は重要な要素の一つではあるものの、一つの要因だけを見て市場を判断するのではなく、複数の要素を組み合わせて考える必要があります。
不動産市場を分析する際には、「金利が上がったから下がる」「金利が下がったから上がる」といった単純な見方ではなく、需給やコスト、収益性まで含めて捉えることが重要であると共有されました。
「いくらで売れるか」だけでなく、売却後まで考える
不動産オーナーにとって、保有する不動産を「売るべきか、持ち続けるべきか」は非常に大きな判断です。
例えば、高い価格で売却できるとしても、その後に得た資金をどのように活用するのかによって、最終的な判断は変わります。
一方で、不動産から安定した賃料収入を得られているのであれば、必ずしも売却することが最善とは限りません。
重要なのは、
- 保有を続けた場合に得られる収益
- 売却した場合に手元に残る資金
- 売却後、その資金をどのように活用するのか
まで含めて比較することです。
「いくらで売れるのか」だけではなく、「売った後にどうするのか」まで考えることが、不動産売却を判断するうえで重要なポイントとなります。
これは、お客様の資産全体を見ながらアドバイスを行うIFAにとっても非常に重要な視点です。
不動産会社によって「評価」が違う理由
不動産には、株式のように常に一つの価格が表示されているわけではありません。
そのため、同じ物件であっても、不動産会社によって提示される査定価格が異なる場合があります。
重要なのは、単純に最も高い価格を提示した会社を選ぶことではありません。
- 「なぜ、その価格で売却できると考えているのか」
- 「どのような買い手を想定しているのか」
- 「その価格にどのような根拠があるのか」
まで確認する必要があります。
高い査定価格が提示されたとしても、必ずしもその金額で実際に売却できるとは限りません。
お客様から不動産売却について相談を受けた際には、提示された数字そのものだけでなく、その背景や根拠を確認することが重要です。
IFAに求められるのは「不動産を売ること」ではない
今回の講演で、IFAにとって特に重要だったのが、不動産との向き合い方です。
IFAのお客様の中には、金融資産だけでなく、自宅、収益不動産、法人所有の不動産、相続した土地など、さまざまな不動産を保有している方がいます。
特に富裕層や経営者の場合、不動産が保有資産の大きな割合を占めているケースも少なくありません。
そのため、お客様の資産全体を把握しようとすると、不動産を切り離して考えることはできません。
一方で、IFA自身が不動産の専門家になる必要があるわけではありません。
重要なのは、
- 「この不動産を持ち続けるべきなのか」
- 「売却した方がいいのか」
- 「提示されている価格は妥当なのか」
- 「売却した後のお金をどのように活用するのか」
といった相談を受けた際に、必要に応じて不動産の専門家につなぎながら、お客様の資産全体を見て判断をサポートすることです。
金融資産だけではなく、不動産まで含めてお客様の資産全体を考えることが、IFAの提供価値を高めることにつながります。
セミナーのポイント
不動産価格の「根拠」を見る
提示された査定価格だけで判断するのではなく、土地、建物、収益性、建築費、需要など、「なぜその価格になるのか」を確認することが重要です。
金利だけで不動産市場を判断しない
金利上昇は不動産市場に影響しますが、価格を左右する要因はそれだけではありません。建築費、賃料、需給、エリアの希少性なども含めて総合的に判断する必要があります。
売却後の資産まで考える
不動産を売却するかどうかは、売却価格だけでは判断できません。保有を続けた場合の収益と、売却後の資金活用まで含めて考えることが重要です。
IFAは不動産を含めて「資産全体」を見る
IFA自身が不動産の専門家になる必要はありませんが、お客様が保有する不動産についても把握し、必要に応じて専門家と連携できることが、お客様への提供価値につながります。
IFAにとって不動産知識が重要になる理由
IFAが担当する富裕層や経営者のお客様にとって、不動産は資産ポートフォリオの大きな割合を占めることがあります。
金融資産だけを見ていては、お客様の本当の資産状況を把握できないケースも少なくありません。
例えば、金融資産がそれほど多くなくても、都心部に多額の含み益を持つ不動産を保有している場合があります。
反対に、多額の不動産を保有していても、借入や維持費、相続、空室などの課題を抱えているケースもあります。
IFAがお客様の人生や資産全体に長期的に関わっていくためには、金融商品だけでなく、不動産についても最低限の知識を持ち、必要に応じて不動産会社、税理士、司法書士などの専門家と連携できる体制を構築することが重要です。
学びと交流の深まる機会に
参加者からは、不動産業界の実務に携わる専門家から、市場の実態や価格形成の考え方について率直な話を聞くことができたとの声が寄せられました。
また、普段なかなか聞くことのできない不動産取引のリアルな話を聞くことができ、今後も不動産に関するテーマを継続して学びたいとの声もありました。
今回のセミナーでは、不動産市場の価格形成や建築費、金利、需給といったマクロな視点から、実際に不動産を売却する際の考え方まで、幅広いテーマについて解説いただきました。
普段、金融資産を中心にお客様へアドバイスしているIFAにとって、不動産会社がどのような視点で物件を評価し、売買を判断しているのかを知る貴重な機会となりました。
講演後には参加者同士の交流・情報交換も行われ、それぞれが日頃受けている不動産相談や顧客支援について意見を交わす、学びと交流の機会となりました。
まとめ
今回の特別セミナーでは、不動産価格の考え方や建築費の上昇、金利と不動産市場の関係、不動産売却を判断する際のポイントなどについて、実務の視点から幅広く学びました。
不動産は、金融資産と並んで富裕層・経営者の資産形成に大きな影響を与える資産です。
そのためIFAには、株式や債券、投資信託などの金融商品だけではなく、お客様が保有する不動産も含めて資産全体を把握する視点が求められます。
重要なのは、IFA自身がすべての不動産取引を判断することではありません。
お客様が抱える課題を把握し、不動産の専門家と適切に連携しながら、「保有するのか」「売却するのか」「売却後の資産をどうするのか」まで一緒に考えることが、IFAだからこそ提供できる価値の一つです。
Club IFAでは今後も、IFAの皆さまの提案力向上とネットワーク形成を目的に、資産運用だけでなく、不動産、相続・事業承継、M&Aなど、実務に直結するさまざまなテーマのセミナーやイベントを継続的に開催してまいります。
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